長旅から帰ってきて、よく聞かれることの一つに《旅をして何が一番変わった?》という質問があります。
んー、旅をして変わったこと。
小さいものを数えればきりがないと思います。
たぶん自分が気付いてないところで変わってるところも沢山ある。
旅に出る前に持っていたテーマの一つに、「幸せを感じるボーダーラインを低くすること」というものがありました。
なんか聞いた感じは、あまりポジティブな雰囲気はないですよね。
だけど、言い換えると「あるものに感謝できるようになる」ということ。
当たり前に感謝する。
日本の感覚したら、劣悪な環境で重労働をしながら暮らしている人たちがたくさんいました。
そのような環境にいたら、日本での「当たり前」を求めることはできません。
シャワーから温かいお湯がでること。
電気がいつでも使えること。
水洗トイレがあること。
言葉が通じること。
危険を気にせず歩けること。
日本の当たり前が通じない環境では、「自分の当たり前」「幸せのボーダーライン」を下げることが必要でした。
お湯は出ないけど、水で体は洗える。
一日の半分は停電してるけど、あとの半日は使える。
ちょっと手間はかかるけど、手汲みの水で流れるからいいか。
言葉は通じないけど、ボディージェスチャーで頑張る。
夜は危険だけど、昼間なら大丈夫。
そんな風にボーダーラインを下げていく過程では、気付くことが沢山ありました。
「こうでなければならない!」なんて思ってたら、何もできませんでした。
体感で気づくこと。
それってすごい大事だなって思います。
僕が働いていた、スポーツの世界はもしかしたら、その逆かもしれません。
「自分に厳しく、今に満足せず、もっといい環境を求めろ!」
ハングリー精神が求められます。
それは決して悪いことではないし、自分を高めようと努力することは素晴らしいことだと思います。
日本の柔道や剣道のように、スポーツを通しての人間教育という考え方もあります。
しかし、「幸せのボーダーラインを上げる」過程で自分を見失ってしまう人も少なからずいます。
そんな時に、もう少し大きな価値観を持っている選手は、ハングリーな過程を経て、様々なことに気付いてきたんだと思います。
だからこそ、恵まれた環境にいることに感謝できる。チームメイトにも、スタッフにも。
今あるものに充足して、それをまたエネルギーに変えて、さらに頑張る。
《気づくこと》 頭で理解するのではなくて、実際に経験から来る感覚。
それを持っている人は強いなぁーと素直に思います。
だから、僕もセッションで大事にしたいなと思っていることは、クライアント自身が気づくまでのプロセス。
僕がするのは、クライアントが体感してもらうために適した環境を作っていくこと。
あっちにも道ありますよー。
こっちには川もありますよ。
あっち行ったら動物たくさんいるかもしれませんね。
よく分からない例えになってしまいましたが、そういう感じです。
だから選択肢を提供して、そこから選ぶのはクライアント自身。
頭での理解ではなく体感から気づけた人は強い。
そんなきっかけの場になれたらいいなぁーと思っています。